3.会話編

3-23.会話編 善導の就人立信と就行立信~蓮師への系譜

善導の観無量寿経疏 散善義・上輩観・上品上生釈・深心釈中の二種深信釈のあとに就人立信釈と就行立信釈が述べられている。浄土真宗聖典七祖編462頁~464頁 *1 就人立信釈 十方におのおの恒河沙等の諸仏ましまして、同じく釈迦よく五濁悪時、悪世界、悪衆…

3-31.会話編 六字釈-本願招喚の勅命と発願回向

*1.善導の六字釈 南無というはすなわちこれ帰命なり。またこれ発願廻向の義なり。阿弥陀仏というはすなわち是れその行なり。この義をもっての故に必ず往生を得。 *2.善導の六字釈に関する祖師の御自釈 (1)しかれば南無の言は帰命なり。帰の言は至なり…

3-27.会話編 他力信の特性(現在性)-平生業成とは-

B君 平生業成と念仏往生の法義の違いについて布教師が解説した音声録音の文字起こしが、あるブログ(「浅川進の、宗教と私」)に掲載されていた。 A君 私も読んだが、そこで述べられていた平生業成と念仏往生の各法義を簡潔に要約して紹介してくれないかな。…

3-26.会話編 他力信の特性-回心とは-

B君 祖師は信に一念があると教えられたが、その文言上の根拠は無量寿如来会の「一念の浄信」という文言にある。その上で十八願成就文の「聞其名号信心歓喜乃至一念」の「一念」を信の一念と理解された。この信一念は信が開発する初起一念と理解されているが…

3-25.会話編 念仏往生(続々) 南無阿弥陀仏 妙味と教学

B君 信の味わいは教学とは別だと考えている人は多いように見受けられるが、君はどう考えているのか。 A君 信の妙味とは大悲を感受していることから味わえる感じや思いのこと、摂取不捨の阿弥陀仏に南無(信順無疑)となっている心の状態を基点として生じる思…

3-24 会話編 念仏往生(続編) 南無阿弥陀仏が往生決定の証拠になるとは?

〔設 問〕 御文(四帖目8通)に次の文がある。この文と念仏往生の教えとは異なるのか。 当流の信心決定すといふ体はすなはち南無阿弥陀仏の六字のすがたとこころうべきなり。すでに善導釈していはく「言南無者即是帰命 亦是発願回向之義 言阿弥陀仏者即是其行…

3-22.会話編 念仏往生 念仏の勧めとは?

B君 「阿弥陀仏はまかせよと勧めており、念仏は勧めていない」とある布教師が言ったことを契機として、阿弥陀仏は念仏を勧めていない、いや、勧めているという議論が始まったばかりだが、君はどう考えているのか。 A君 「阿弥陀仏は念仏を勧めているか否か…

3-21.論考 ある白道解釈 プラス 会話編

以下において論評の対象にする白道解釈は次の引用文である。この引用文はある真宗系を自称している団体のホームページ(平成31年1月10日現在)からそのまま転載したものである。 阿弥陀仏は、「どんな人も必ず絶対の幸福に助ける」と命を懸けてお約束なされて…

3-20.論考 元祖の白道解釈 プラス 会話編

昭和新修法然上人全集448頁に収録されている「一.三心料簡事」の出だしから中頃にかけて、息慮凝心の定善と廃悪修善の散善は貪嗔邪偽等の血毒が交わるが故に雑毒の善、雑毒の行と名付ける。虚仮の行とは至誠心において嫌われる余善諸行である。この虚仮雑毒…

3-18.本尊と助業

B君 A君は本尊についてどう考えているの? A君 名号本尊であれ、木像本尊であれ、絵像本尊であれ、阿弥陀仏の大悲を表現したものであればどれでも良いと思うよ。大悲を表すものである限りはいずれがダメだということはないよね。 B君 名号本尊に固執しな…

3-17.浄土真実の行

B君 行巻の願名の下に「浄土真 実の行」と書かれているけど、この浄土真実の行をどう理解すればよいだろうか。名号のことか本願念仏のことだろうか。 A君 その前に仏様の救いのありかたを見てみようよ。祖師が言われている仏願の生起本末を広く解釈すれば…

3-16.祖師が他力の信を無疑という事実に還元された理由は何か。 他力の信は無疑の事実状態に限定されるのか。

A君 前回他力の信に有って自力の信に無いもの、自力の信に有って他力の信に無いものという議論をしたけど、そもそも他力の信というのは事実状態だけで構成されるものなのか、或いはその状態に加えてある種の思いを含んだものなのか、どちらと考えるのが適当…

3-15.信-有るものと無いもの

他力の信に有って自力の信に無いもの。 自力の信に有って他力の信に無いもの。 A君 祖師は「聞というは本願の生起本末を聞きて疑心あること無し。」と言われ、この如実の聞を本願回向の信であるとされているよね。 B君 うん。そうだね。 A君 祖師は、どう…

会話編 3-14 大信と大行

B君 A君はよく「阿弥陀仏に南無している心の状態」が信だというよね。 A君 うん。よく言うよ。 B君 その信の相は南無阿弥陀仏だから、その信が大行だと言うんだよね。 A君 うん。そうだね。 B君 祖師は称名が行だとされているけど、信も大行だと言うの…

3-13.念仏すれば救われますか? の質問にどう答えるか。

A君 真宗において、なかなか救われずに苦労している人は、どうしたら救われるのですか、念仏称えたら救われるのですか、と真剣に問われることがあるよね。君なら何と答える? B君 「救われる」という事をその人はどう考えているのでしょうか。浄土往生でき…

3-12.明信仏智

“他力の信を得たら、明信仏智の働きで、他力の信だと分かるから、人に尋ねて、これが信かどうかを、確認する必要はない” A君 今回は、この点について議論してみようか。信を得た人は、直ちに他力の信を得たと分かるものなのかい? Cさん そんなことはない…

3-11.三願転入 その3

T君 A君は、十八願だけを聞けばいいと言っているというじゃないか。 A君 ん? そんなことは言っていないよ。 T君 先日、K君が君からそんなことを聞いたと言っていたよ。A君から、直ちに救われたければ十七願十八願の願心を聞けと言われたってね。 A君…

3-10.三願転入 その2

K君 君は、如来の大悲心をそのまま聞けというけれど、そのまま聞けない人はどうすればいいんだ? A君 どうすればいいんだって聞くけど、そのまま聞くしかないんだよ。 K君 それでもそのまま聞けない人はどうすればいいんだ? A君 それでもそのまま聞くし…

3-9.如来回向

A君 聴聞しているのは如来回向の救いの法っていうけど、如来回向とはどういうことか、分かるかい? B君 簡単に事じゃないか。如来回向というのは、如来が救いの法を私にさし向けているということだよ。 A君 うん、そうなんだけど、さし向けているというの…

3-8.三願転入 その1

A君 祖師は、どうして三願転入の文を書かれたんだろうね? B君 やっぱり、祖師は聖道自力の行から、どこかの段階で浄土の法門に入られて念仏行をされていたのではないかと思うんですよね。祖師は既に比叡のお山で常行念仏をされていたと聞いたことがありま…

3-7.無条件の救い

A君 十八願における如来の救いは無条件と言われているけど、どうしてそういわれるのか、分かる? B君 如来の救いは他力回向だから、じゃないですか。 Cさん 他力回向だとしてもどうして無条件の救いになるのか、その説明が必要よ。 B君 そうだね。 A君 …

3-6.南无阿弥陀仏

A君 十八願文の中に南无阿弥陀仏を見つけられる? Cさん 蓮如上人は十八願を南无阿弥陀仏といふ願*と呼ばれていたけど、それと関係があるの? *5帖8通(浄土真宗聖典1195頁) A君 おおありだよ。ちょっと考えてみて。 Cさん ええっと、十八願は「至心…

3-5.信が得られる条件-赤尾の道宗

Cさん 赤尾の道宗は、琵琶湖の海を一人して埋めよと蓮如上人から言われて、かしこまると答えたそうだけど、蓮如上人は、善知識に絶対服従することを求められたということなのかしら。 B君 違うね。善知識に絶対服従するというこことと信を得られるというこ…

3-4.地獄は一定すみかぞかし

A君 我が身は死ねば地獄は一定ということになれば、祖師は、さぞかし苦しい思いをされた、のだろうか。 B君 如来の呼び声を聞いているから苦悩はなかったと思うよ。 Cさん 私もそう思うわ。 A君 いつ、祖師は、地獄は一定という思いになったのか、考えて…

3-3.自力消尽の理由

A君 自力が消尽するのはどうしてだと思う? B君 以前、僕は、地獄一定の実機が知らされて出離できないと知らされるから自力無功になるのだと思っていたよ。でも、A君はそうじゃないというんだね。 A君 ウン。地獄一定の実機など知らされないよ。それに、…

3-2.悪人正機 

A君 Cさんは「悪人正機」についてはどう思っているの? Cさん 私は罪悪感が強いので、悪人正機の悪人とは私のことだと思うわ。A君は そうじゃないの? A君 僕は罪悪感はほとんどないね。自分は善人だと思っているので、悪人正機と 聞いたって、善人も正…

3-1.本願まこと

A君 B君は「本願まこと」と心から思っているかい? B君 ウーン、自分でもよく分からないなぁ。「本願まこと」と思っているようで あり、そうはっきりと分かったとは言えないような、そんな感じかなぁ。 A君は、どうなの? A君 僕もそんな感じだけど、「…